どんな事業をするにしても、その業に精通しなければ、失敗するのは当然です。近年、養蜂に関心を持つ方が非常に多くなってき、ミツバチ飼育に挑戦しますが、その大半が失敗に終わるのは大変残念なことです。日本は気候風土に恵まれていて、野生の草花だけでなく栽培ものの花も多く、蜜源植物が多いにも関わらず、上手くいかないのは、養蜂に精通していないからです。
小生はこの十数年間、ミツバチ飼育の研究と啓蒙をしてきました。特に、箱根養蜂場を設立してからは、ますます、その理念に確信を持ちました。
今日ここに、自らの経験を踏まえ、養蜂の手引き書を出版し、これを世に問う次第です。小生は、まだまだ浅学で、本書は決して充分なものではありませんが、本書が読者諸氏に少しでも参考になり、ミツバチ飼育の一助となれば、著者としてこの上ない喜びです。
明治37年1月 青柳 浩次郎記す